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“殺処分ゼロ”を謳う「ピースワンコ」摘発

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“殺処分ゼロ”を謳っていた広島県にある施設「ピースワンコ」が摘発された。

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ピースワンコ


殺処分。嫌な響きである。ゼロになるに越したことはないが、そう謳って救った犬たちが、実は殺処分以上の虐待にさらされ――。ピースワンコ・ジャパンのそんな実態を、本誌(「週刊新潮」)は2度にわたりレポートしてきたが、ついにこの“偽善組織”が書類送検され、同時に愛護団体から告発されたのだ。

ピースワンコ問題の理解には、先月26日、広島県警福山北署に送られた告発状を読むのが早そうだ。動物愛護管理法に違反しているとして、ピースワンコ・ジャパンの事業を司るNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の大西健丞代表理事と、ピースワンコの責任者、大西純子氏を告発したものだ。以下、概要をザッと示そう。

広島県神石高原町に本部を置くピースワンコが行うのは、行政が収容した犬を引き取って里親に渡す事業で、2016年からは広島県内で殺処分対象となった犬はすべて引き取り、その資金に、神石高原町のふるさと納税を使ってきた。

“殺処分ゼロ”を謳って虐待

ところが、四つのシェルターのなかで最大で非公開のスコラ高原シェルターは、今年1月時点で1400頭収容の過密状態。ところがスタッフは数人だけで、餌も1日1回。劣悪な環境で極度のストレス状態にある犬たちは、弱い犬を集団で攻撃し、月に30頭が死亡していた。また、ピースワンコは不妊・去勢手術を基本的に行わない方針なので、子犬もよく生まれるが、感染症などで死亡したり、夜中に生まれるとほかの犬に食べられたりしていた。なのに少なくとも今年1月まで、このシェルターには外科の器具すらなく、犬の数が多すぎるため、子犬を蹴りあげるなど、職員の乱暴な扱いが目立った――。

「我々は状況証拠や内部告発者の証言を集め、ピースワンコが行っていることは動物愛護管理法違反だから捜査してほしい、という趣旨で告発しました。〈愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者〉への罰則を定めた動物愛護管理法第44条1項への違反。加えて〈健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること〉〈疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと〉を禁じた、同じ条の2項への違反です」

と語るのは、告発した日本の保護犬猫の未来を考えるネットワーク代表の多田和恵さん。現在、ネットワークに76団体が賛同、浅田美代子、杉本彩ら芸能人も名を連ねている。

ところで、告発状に書かれた内容は、ピースワンコの内部で働いた竹中玲子獣医師の証言として、去る9月に本誌が報じたものとほぼ一致する。この記事に対してピースワンコは、
〈きわめて一方的で事実と異なる記述が多く、(中略)十分な裏付けのない誹謗中傷に強く抗議する〉などとHPに書いたが、くだんの竹中獣医師は、「自分が見聞きしたものを正直に伝えたのに、“裏付けのない誹謗中傷”だと中傷されて、非常に残念」と憤る。また公開のシェルターであっても、今年勤務した元職員によれば、「頭数が多すぎるため、みな犬への接し方が雑になり、犬が人嫌いにならないかと心配でした。毎日外に出て運動できる犬など、ほとんどいないんです。子犬の感染症はワクチンで防げる場合もあるのに、まともにワクチンも打っていない。
こうした内部事情については、外に漏らさないように箝口令が敷かれています」

3億円以上が使途不明

ところで、竹中獣医師がスコラ高原シェルターで働いたのは、「狂犬病予防注射を打つのが追いつかないので手伝ってほしい」と言われてのことだった。

その旨も先の記事で触れていたが、先月20日、ついに広島県警はPWJを書類送検したのだ。大西代表理事ら3人が狂犬病予防法違反の、PWJ自体とほかの職員2人は、犬舎から12頭が逃げ出した件で、県動物愛護管理条例違反の疑いがあるという。県警に近い関係者によれば、「職員や元職員から幅広く事情聴取していて、もちろん目標はもっと先にあります。怠慢な広島県が主犯でピースワンコが共犯、ふるさと納税の納税者が被害者、という構図です」犬を際限なく引き取れば過密状態になり、予防注射は行き届かず、脱走犬も現れる、というのは当然の帰結だろう。そのうえ、自身も元NPO法人代表の土谷和之氏によれば、PWJは認定NPOにしては、異例の“不透明さ”だそうだ。

「一部公開されているピースワンコ事業の会計報告を見ると、17年度は経常収益11億円のうち、ふるさと納税に当たる受取助成金等が5・3億円。一方、総額8億円の経常費用のうち3・4億円は、“その他の経費”内の“その他の経費”とされている。つまり使途不明金で、監査を受けたとして堂々と出してます。ふるさと納税を使いながら年に3億円以上が使途不明とは、認定NPOとして常識的にあり得ない規模です」

これでは、ふるさと納税をほかの目的に使うために、犬を引き取り続けていると思われても仕方あるまい。

それにしても、行政はなぜ、こんな団体に犬を渡し続けるのか。広島県動物愛護センターは、「計画的な立ち入り検査により、問題があれば適宜指導を行っています」
と返答するが、
「県の食品生活衛生課にピースワンコの現状を訴えたのですが、“今までなんの問題もございませんでした”という回答でした」
と、先の元職員。なにも見てはいないのだ。再び多田代表が言う。

「広島県からピースワンコへの犬の譲渡を止めさせなければなりません。県の現場職員たちはもう譲渡をやめたくても、県は“殺処分ゼロ”を維持したくて、ピースワンコは全部引き取ってくれるから、という流れがあるようです。でも、13年改正の動物愛護管理法について、環境省を含めた話し合いの場では、殺処分ゼロの弊害としての現場の混乱が指摘されています。繁殖を抑制しながら飼わないとネグレクトと判断する、という趣旨が、法改正の際に盛り込まれる可能性もある、と見る賛同者もいます」

引き取られた犬は虐待され、非業の死を遂げ、そのために、ふるさと納税が使われるが、多くが使途不明。捨ておけることではない。

「週刊新潮」2018年12月13日号 掲載

鮫島コメント

犬を狭い場所に密集させて飼育し、餌も1日1回、しかも虐待まで…いくらなんでも劣悪過ぎる。
行政の対応が遅いのはいつものこととはいえ…広島県の殺処分ゼロを維持するためにピースワンコの飼い殺しを黙認視する…呆れてものがいえない。
いままでピースワンコに前科がなかったから大丈夫だ、という性善説などの壁が問題なのかもしれないですね。
しかし、一番の問題は結局「捨ててしまう人」と「里親が見つからない」ことです。そして「お金を払えば救われる」という発想。救われている現場を見なければ分かりません。
広島県を含めた各都道府県、各団体はそのあたりも含めて今後しっかり取り組んでほしいですね。あと…お金を払った人たちも。。。

【引用元】

https://www.dailyshincho.jp/article/2018/12160558/?photo=1

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