企業も労働者も知っておきたい違法になる「みなし残業」

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みなし残業とは

みなし残業とは、実際の残業の有無に関わらず、あらかじめ給与の中に一定時間分の残業代が含まれて支払われる制度のことです。

特に外回り営業職や、出張の多い企業などに多く見られています。外回りなどでは、従業員が直接会社の目が届かないので労働時間を正確に把握できないためです。

みなし残業の企業側の種類

みなし労働時間制は、「事業所外労働」と「裁量労働」の2つにわけられます。

事業所外労働とは

営業職のような一日中外で顧客周りをするような働き方で、冒頭でも述べたような、労働時間の正確な把握が正確にできな場合です。

裁量労働とは

エンジニアやデザイナーなど専門職に用いられ、業務を行う時間配分を個人に委ねるものです。こちらも労働時間を把握することができません。

違法とされる「みなし残業」

みなし残業は違法というわけではありません。

実際の裁判で定額の残業代が、労働基準法で決められた割増賃金以上の額であれば違法性はないという判例があります。

ですが、違法になるケースもあります。

労働基準方の最低賃金を下回った場合

たとえばある県の最低賃金が888円だったとして、みなし労働時間制を採用し、20時間のみなし残業と設定したとします。労働基準法で決められている一か月の所定労働日数は23日、一日の所定労働時間は8時間ですから…

  1. 基本給は888円×8時間×23日=163,392円
  2. みなし残業代は888円×1.25×20時間=22,200円
  3. 1と2の合計で最低賃金を算出します。163,392円+22,200円=185,592円

つまり、ある県の会社が20時間のみなし残業制を導入した場合、185,592円を下回ると労働基準法違反に触れてしまう可能性が非常に高いのです。

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つまり、みなし残業を含めた時給が最低賃金を下回った場合違法性があるということです。

ここで知っておかなければならないのは、時間外労働の計算方法は×1.25倍になることを忘れないでください。

固定残業代の金額・時間が明確に記載されていない

例えば求人情報を見ると

①「月給25万(みなし残業40時間分含む)+交通費(2万円まで)」

②「月給21万5,000円(一律残業代含む)」

と記載されている企業がありました。

これは①、②ともに違法とされます。

①は月給のうちいくら分が残業代なのかわかりません。②残業代の時間もなければ金額もわかりません。

あなたの会社で、固定残業代性を取り入れているがその金額や時間がはっきりしていないのであれば、固定残業代は無効となります。

雇用側が固定残業代を周知していない

労働者が知らないうちに固定残業代性が給与形態に含まれることは、違法です。

例えば、基本給は23万だった場合、「18万を基本給、5万円を固定残業代にするので、実質あなたがもらえる金額はかわりませんよ」と労働者に説明すしなければなりません。

一定時間に満たないと固定残業代が支払われない

そもそも固定残業代は、決めてある残業時間に達成しなかったとしても、一律で支払わなくてはなりません。

例えば「みなし残業30時間」とされていても、30時間働けば支払われ、働かなければ支払われないというわけではありません。

超過した残業代が支払われない

先ほどとは逆に「みなし残業30時間」とされている場合、従業員が40時時間働けば超過した10時間分の支払いは必ずしなければなりません。

30時間を超えてもなお固定残業だから残業代は出ないとなってしまうと、完全に違法です。

さいごに

労働者はこのような違法なみなし残業を知ることで、不利な労働条件に気づくきっかけになると思います。

また企業側も先に述べた違法なみなし残業の適応をしているのであれば、労働者に嘘をついて働かせる”ブラック企業”と言ってしまっていいでしょう。

もちろん企業側も知らなかったでは済まされないことになるので十分な注意が必要です。

最近では「みなし労働時間制」を取り入れる企業が増加している傾向にあります。デスクワークを中心とする職業が増え労働時間よりも、成果で報酬が決まるシステムを採用する企業が多くなっているのが理由です。

だからこそ、「みなし残業」についてしっかりとした知識を持つことが重要になります。

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