自分の能力をより高く見せるとは
自分の能力を相手に高くみてもらうことによって、人脈の広がりや、取引などがスムーズにいく効果がありますが気をつけなければならないのは、優秀に見せようとして逆に恥ずかしい思いをしてしまうことです。
もちろん自分の能力を高めていくことが最も重要ですが、「優秀になりたい」と「優秀に見られたい」は違います。
「優秀になる」よりも「優秀に見られる」ほうが格段に簡単ですが、それが見破られるほど滑稽なものはありません。
また「優秀だ」という判断基準は、個人差があり、曖昧です。そのため共通した認識がないものを自分で作り出し実行しなければならないため特に難しいのはおわかりでしょう。
知識のひけらかしは逆効果
優秀と見られたいがために、難しい用語や、やたらと英語を使う人です。
こういった人は珍しくなく、社内に1人や2人はいるでしょう。あなたの会社でも当てはまる人を想像してみてください。
ビジネスコミュニケーションのコンサルタント、ダイアナ・ブーアー氏は、あるマネジャー(中間管理職)のコーチングを担当した。新しい言葉を毎日学び、一日中それを使うことで他人に良い印象を持たれようとしていたマネジャーだった。ブーアー氏によると、このマネジャーは「今日はubiquitous(ユビキタス=遍在的な)という言葉を使おう」などと言って、会議や立ち話の際に3、4回使っていたが、適切に使えているときもあれば、そうでないときもあった。それはマネジャーのイメージを良くすることはなく、「笑いの種」になっていたという。 THE WALL STREET JOURNAL
自分を頭のいい人間と見せたいと思った行動が逆にバカにされる例は少なくありません。
このことからわかるように、本当に優秀な人間は言葉をわかりやすく相手に伝えれるかどうかという点になります。
難しい言葉を並べられても聞いている方は理解ができないだけで、それが直接「頭がいい人だ」という認識には繋がらないのです。
優秀にみせようとする行動
大学院生182人を対象にした2007年の研究で、一部の参加者はパートナーと対話する際、自分が賢く見えるように試みるよう指示を受けた。この様子は録画された。各参加者は知能検査も受けた。別の人々(観察者)はビデオを見て、参加者がどのくらいの知能を持っていそうかを予想した。これとは別に、研究者たちは、ビデオを見てさまざまな行動を28種類確認した。
すると、自分が賢く見えるように試みた人々の行動には、いくつか共通するものがあった。1)人の話を聞くないし自分が話す際に相手を見る、2)姿勢正しく座る、3)真面目な表情をする、4)髪や顔を触るなど特定の身ぶりを避けるといったことだ。ただし、ビデオを見た人から知性が高そうだと評価された行動は、最初の二つだけだった。
観察者たちはまた、リラックスして自信を持っているように見えた参加者の知性が高そうだと評価した。THE WALL STREET JOURNAL
この実験からわかるように、人が賢く見せようとする行動には共通点があります。
そしてその行動は賢く見せようとすればするほど、相手にとっては逆効果であるという結果になっています。
また、頭がよさそうに見せる人は相手が話す隙を与えないように、大声で途切れなく長時間話す傾向にあります。これは、相手に自分が知らない知識の話題や質問をされないように防御している心理の表れです。
本当に知性がある人はリラックスし自信をもって話します。決して、時間をかけて長々と説明することが優秀な人間だということではありません。
自信がある人ほど仕事ができない?
優秀に見せようとする人には、自信満々な人が多いです。それはもちろん根拠のない自信と言われるものですが、”より能力がない人間ほど自分を過信しすぎている”という傾向にあるようです。
被験者に対して、論理的推論のセンスなどのテストを実施し、同時に、テストの結果について自己評価させた。すると、下位4分の1に属する底辺グループの平均得点は、下から12%のところに位置するものだったが、底辺グループの自己評価の平均は下から58%、「自分には平均以上の能力がある」と思い込んでいたという。 ダ・ビンチニュース
能力の低い人ほど、自分の能力を把握する能力も低いとされています。
つまり自分の能力が低いほど、自分の仕事に自信を持っているということになるのです。
優秀な人ほど、自分の仕事に満足がいかず高みを目指して進んでいくのでしょうが、逆に優秀ではない人ほど、自分を過信し他の人を見下す傾向にあり、いつまでも成長しようという努力が見られません。
本物の優秀な人材とは
今までの内容をまとめると、「知識のひけらかし」「優秀に見せようとするあまり相手に悟られる」「根拠のない自信がある」このような人が優秀だと見せかけている人です。
では「本物の優秀な人材」はその逆。「難しいことでもわかりやすく相手に説明でき」「謙虚でおごりがない」「高みを目指すがゆえに自信がない」人材なのではないでしょうか?
あなたの会社にも「本物の優秀な人材」と「偽りの優秀な人材」がいるでしょう。
偽りの優秀な人材ほどアピールがうまく、上司に取り入るのがうまいことも事実です。ですが、その陰で本当に優秀な人材は必ず社内にいます。
本当に優秀な人材を手放さないように会社経営者はしっかりと目を配る必要があります。
まとめ
このように、自分の能力を高く見せることは、相手に悟られやすく、さらには自分の価値を下げてしまう行動になってしまいます。
本当に求められているものは、優秀に”見せかける“人材ではなく、優秀な人材です。
そのためにも日夜謙虚な心で学び続けなければならないことは、すでにおわかりのことだと思います。